常楽さんの健康ブログ

健康について考えるブログです。

本を出版致しました。(運動はこんなに健康に良い)

最近は健康寿命という言葉がマスコミでも多く取り上げられるようになった。健康寿命とは文字通り健康で自分の事は自分でできる状態をいう。健康寿命が注目されるようになったのは平均寿命との間に大きな乖離があるという事実からの様だ。現在、男性で9年強、女性では12年強の乖離があるとのことである。この差とは自分のことを自分でできないため介護を必要としている期間を意味する。女性が男性に比べて長いのは転倒などで骨折をしてしまうケースが多いこと、そして女性の方が長寿であることからと思われる。

世の中にはいろいろな健康法がある。理にかなっているものもあればそうでないものもありどれを選んだらよういのか迷ってしまうかもしれない。しかし、運動(特に適度な有酸素運動)は万人に有効でやり過ぎない限り副作用は‟ゼロ″と言えるため、「運動を錠剤にして販売すれば世界で最も売れる薬になる」と言われる所以といえる。

著者はこの度、大学院での約10年間の研究をベースに「健康とはどうゆう状態の事なのか」、「運動がなぜ健康に良いのか」、そして著者自身が実行している太極拳の「健康効果」などをまとめた本(『「運動」を錠剤にして販売すれば世界で最も売れる薬ー 運動はこんなに健康に良い!』)を幻冬舎より出版した。

健康寿命の延伸のために少しでも参考になればと願っています。

 

気候の変わり目の体調管理

    最近はやっと気候の変化が落ち着いてきたが、今年は特に日々の変化が大きく体調を維持していくのに苦労した人も多かったのではないだろうか。

 こうした気候変動が私たちの体内にも影響を及ぼすことは避けられない。何となく気分がすぐれないとか、体がだるいとか、日中に眠くなるなど体調の不振を訴える人が増える。私たちの体には交感神経と副交感神経からなる自律神経というものがある。体調の良い時には交感神経と副交感神経のバランスが均衡した状態にあるが、気候の悪い時や寒暖の差が大きい時には自律神経のバランスが崩れてしまい体調にも影響を与えてしまうようだ。

 こうした体調不振の時には15分程度の昼寝が有効だ。昼寝は長く取り過ぎると夜の睡眠に悪影響を与えてしまうため15分以上は禁物だ。私は通常昼寝をしないが、疲れた時には5分間椅子に座って目を閉じることにしている。5分間のためにタイマーをセットするのは面倒なので秒速ぐらいの早さで目を閉じながら300数えることにしている。5分間目を閉じるだけで頭が冴えて体が軽くなるので自分でも驚くほどの効果を実感している。

脳は人間の五感から受ける刺激の内、8割以上を視覚から受けていると言われている。従って、目を閉じて脳から入る刺激をカットするだけで脳のエネルギー消費量を大幅にカットできるため、例え眠らなくても目を閉じているだけで頭が再び冴えてくるという理屈だ。電車に乗って座っている時などぼんやりと外の景色を見ているぐらいなら、目を閉じて脳の省エネに努めることがお勧めだ。

国会議員には「スタンディング・オベーション」を大いに推奨する

先月30日の衆議院予算委員会で26日の所信表明演説の際に多くの自民党議員がスタンディングオベーション(立ち上がり拍手)をして演説が中断されたことを民進党が批判していたが、私は逆に健康維持の観点から大いにサタンディング・オベーションを推奨したいと思う。

TVで国会中継を見ていると、ほとんどの国会議員は椅子にじっと座ったままで長時間過ごしているが、「動かないことが万病の元」となっていることは数多くの研究結果から明らかになっている。座ったままでいることを「セデンタリー」というが、このセデンタリーについての研究では、「運動の有無に関係なく1日11時間以上座ったままの状態で生活している人は、4時間以下の人に比べて40パーセント以上死亡率が高まる」ことが判明したというオーストラリアの研究報告もある。そして1日どれぐらいの時間、私たちは座った状態で過ごしているかという研究では日本もイギリスも平均10時間から11時間と報告されている。これは仕事でのデスクワークの時間、移動での車や電車に座っている時間、自宅でテレビなどを鑑賞している時間すべての合計である。

肥満や糖尿病などの生活習慣病の患者が年々増加して医療費負担増につながっている現状下、国会議員の人たちは率先してスタンディング・オベーションをやって自らの健康維持を国民に示してもらいたい。

日米の社会的マナーの違いについて

私は2006年までの約11年間をアメリカで生活をしていた。社会的マナーという観点では日本は約束をきちんと守り、時間にも正確であり信号などもきちんと守る国民性であるというのが一般的であると思う。私もそうした自負を持って海外でも生活していたが、これはアメリカ人の社会的マナーの方が日本人よりも優れているという気づいた点が幾つかある。

  • 二人で入ったレストランでの料理の出し方

日本では二人でレストランに入って二人別々の料理を注文したら、別々に運ばれてくるのがふつうである。時にはもう一方の料理はかなり遅れて運ばれて来るときもあり、ただひたすら待つか先に一方だけが食べてもう一人は今か今かとばかり指をくわえて待つという事が頻繁に起こる。

しかし、アメリカでは料理は必ず二人分同時に運ばれてくる。別々に運ばれてきたことは10年間生活して一度も経験したことがない。つまり、彼らの考えはこうだ。レストランで食事をするというのは食べることだけが目的でなく、食事をしながら会話を楽しみ生活をエンジョイするために来るのであるという事だ。従って、一人分だけ料理が運ばれて、もう一人分は後からくるなどは受け入れられないという事だろう。

  • 建物のドアの開閉時には必ず後続者に配慮する。

アメリカでは建物の出入りの時のドアの開閉は必ず後続者の有無を確かめ、後続者がいる時はドアを開けたまま支えて次の人にバトンタッチするのが常識となっている。一方日本ではどうだろう。先の人がドアを開けて入っても、後ろを振り返って後続者の確認などは全く行わない。私は日本に戻って来たばかりの頃に、後続の人にドアを開けて支えていたら、後ろから来た人はそのまま私の事を気にもかけずに行ってしまったという経験がある。つまり、私は単なるドアマン役をさせられてしまったのだ。

 

  • 救急車が後ろから来たら直ちにスピードを落として、道路わきに車を停車する。

救急車がサイレンを鳴らして後ろから近付いて来たら、例外なく道路わきに車を止めて救急車に道を譲り、救急車が通り過ぎたら再び通常通り車を走らせるというのがアメリカでは常識だ。人命にも関わる可能性がある救急車を一刻も早く通そうと考えるのが一般的だ。

一方、日本では全く無頓着なケースが多くみられる。従って、サイレンだけでなくマイクで大声を出して注意を喚起しながら走っていることが多い。

私は以上のことで日本のマナーがアメリカと比較して悪いことを強調しているのではない。否、日本の方がいろいろな面で優れていることが多い。しかし、上述の3点についてはもう少しどうにか出来ないものかと日頃から思っている。

太極拳とフロー体験

芸術やスポーツの世界にはフロー体験と呼ばれるものがある。フロー体験というのは「時間の経過を忘れて、没入するほどの喜びの体験」のことを言う。フロー体験を得るためには自分がしようとしていることのチャレンジ度(難易度)とそのことに対する自分のスキル(能力)のバランスが均衡した時に得られるとされている。

どんなスポーツでも芸術でも、最初に自分が挑戦した時は難しくてなかなか上手く出来ないために、その事を楽しむ状況にはならないが、少しずつ上達するにしたがって夢中になり、時間の経過を忘れる程に楽しくなってくる。これがフロー体験というものだ。

私は太極拳を始めて18年になるが、習い始めた頃は全く先生の動きについて行けず不安状態が1年ほど続いた経験があるが、次第に体が自然に動くようになり、現在は毎回行う度に太極拳の難しさを意識しながらも、自分なりに太極拳を舞う事の楽しさを感じている。

フロー体験は喜びの体験であり、ポジティブ感情の発露した体験である。先の項(大切なのはポジティブ思考)でも述べた通り、ポジティブ感情は自律神経のバランスを促し、血流を増やして健康効果を高めることが期待されている。特に、太極拳の初心者は最初の1年ぐらいの間は両手、両足を左右バラバラに動かすことがなかなか難しく、大変脳が混乱した状態(不安状態)を経験するが、これは「どうしたら上手く両手足を動かしたらよいのだろう」と脳がすべての神経細胞をフル回転させている状態なので、認知症予防に大変良いという研究報告が発表されている。

太極拳は適度な有酸素運動であり、下肢筋力を強化し、心肺機能を高めるため誰にでもお勧めすることが出来る運動といえる。

大切なのはポジティブ思考

 定期的に適度の運動を継続することが健康に良いことは、今では誰でも理解している。しかし、このことが科学的に証明されたのは戦後になってからだ。1953年に発表されたロンドン大学のモリス教授らの研究でロンドンバスの運転手(仕事中は座ったままで体はほとんど動かすことはない)はバスの中を立ったままで動き回っている車掌と比較して冠動脈心疾患での死亡者が3倍高いことが分かった。そしてその後はハーバード大学のパフェンバーガー教授らの研究があり、今では運動と健康の間には強い相関関係があることが分かっている。

 そんな時、仕事がそのまま運動をすることに繋がれば理想的だろう。実際、私たちの遠い祖先たちは獲物を追いかけて野や山をさ迷い歩いていた狩猟民族であり、さらに約1万年前に農業が始まったと言われる農耕民族も毎日畑に出て運動してきたのだ。従って、私たちの体は運動することで体の生理機能が最大限発揮されるような構造になっていると言える。

 それゆえ現代社会においても、毎日適度に体を動かすことが求められる仕事であれば、特に仕事の後にジムに通う必要もない。そのような仕事の1つの例としてはレストランのウエイトレスがある。比較的大きなレストランで人気のあるレストランなら、尚良い。毎日店内を忙しく歩き回り、手には料理を持ち、お客の注文をとり、テーブルの後片付けをし、と昼食時や夕食時の時間帯は頭を使い、歩き回り、手には料理を持っている。私は昼食の時は外食が多いので何回もこのような風景に出くわすが、お客に笑顔をみせて話しかけ、体を動かしているのだから、恐ら彼女たちは毎日1万歩以上を歩きながら且つお客に気配りをしているので頭をフル回転しているに違いない。

 認知症予防にはダブルタスクが良いとされている。ダブルタスクとは2つのことを同時に行うことをいう。特に運動しながら頭を使うのが大変良い。運動をすることで脳の血流が増えた状態で100から7を引くなどの引き算をするのである。

 しかし1点大変重要な点がある。それは彼女らが「自分は毎日体を動かし、お客に笑顔で話しかけをしているのだから健康に良い」と自覚している場合には健康効果はさらに高まるという点である。逆に、「毎日忙しくて重労働で大変だ」と思いながら仕事をしている場合には健康効果は高まらない、という論文が発表されている。

 最終的には何事においても、ポジティブに向き合う態度が自分を良い方向に導くという事だろう。

 

太極拳は究極の有酸素運動

 近年、太極拳の健康効果についての研究論文が数多く発表されている。世界の医学系雑誌に発表された論文は昨年1年だけでも110本以上になる。それだけ太極拳の健康効果について世界中の大学などの研究機関で注目を集めている証だろう。

 太極拳は中国で武術として伝えられてきたものだが、近年は健康のための運動として愛好されている。太極拳はスローに優雅に滑らかに動きながら、体重を右足から左足へそしてまた、左足から右足へと体重移動させるのが特徴である。一見軽い運動に見えるが、運動強度はやや早歩きぐらいの運動である。そして深い呼吸を伴った適度な有酸素運動であることから、海外ではムービング・メディテーション(動きながらの瞑想)などとも呼ばれている。

 主な健康効果としては①バランス能力の向上による転倒予防②下肢筋力の強化③心肺機能の強化④ストレス軽減効果そして近年は⑤認知機能の向上などが発表されている。

 太極拳は性別・年齢を問わずに行うことができるので、高齢者にとっては健康維持のために最適な運動といえるが、一番の問題は覚えるのに時間が掛かること。何とか体を動かすことが出来るようになるまでには週1回の太極拳練習で少なくとも1年以上の練習期間が必要になる。しかし、最初の1-2年の困難な期間(実際はこの期間が脳を非常に活性化させているので認知症予防に有効)を乗り越えることが出来れば、その後に得られるものはその期間の苦労の何倍にもなって帰ってくるので是非続けてほしいと思っている。