常楽さんの健康ブログ

健康について考えるブログです。

ため息は自己防衛の生体反応

昔からため息は体に良くないという事がいわれているが、最近はむしろ体に良いといわれるようになった。どうして昔の人はため息を体に悪いと考えたのだろうか。

ため息はどんな時に、あるいはどんな人に多く出るのかを考えて見ると良く理解できる。一般的に不安なことや悩み・ストレスなどを多く抱えている人がため息を多くする。不安なことや悩みを多く抱えているとその人の自律神経はどうしても交感神経が高くなり、自律神経の乱れが生じてしまう。こうした乱れが長期間継続すると体調を崩すことになる。

私たちの体はこうした体調の崩れを生じる前に自己防衛的にため息を起こさせて自律神経の乱れを調整することをしていると考えられる。ため息とは大きく息を吐くことである。私たちの自律神経は吸気時に交感神経が高まり、呼気時に副交感神経が高まるようになっている。従って、ため息をつくことで副交感神経が高まり、自律神経をバランスのとれた正常な形に戻す役目を担っているのだ。

ストレスが高まったり、悩みや不安な状態になったりしたときはため息を待たずに、意識的に深い呼吸(吸気の倍ぐらいの長さでゆっくりと吐いていく)をすることが自律神経のバランスを保つのに大変有効と言える。

健康と病気は同じ連続体上にある

アメリカの健康社会学者アーロン・アントノフスキーは「健康と病気は別個のものではなく、私たちは健康と病気の連続体上のどこかに位置している」と述べている。 つまり、すこぶる元気で健康に感じる時は連続体上の健康側に近い位置にあり、朝から体がだるく気分がすぐれない時は連続体上の病気に近い位置にあると言える。東洋医学で「未病」という概念があるが、これは連続体上の病気に近い位置にあるといえるだろう。

そして、病気側に私たちを押し寄せる要因としては深酒、喫煙、肥満、運動不足などの悪い生活習慣であり、健康側に向かわせる要因としてはやはりバランスの摂れた食事であり、十分な睡眠であり、適度な運動であり、そしてご機嫌に前向きに生きるなどの良い生活習慣だろう。

つまり、いつまでも元気で長生きして健康寿命を延ばすためには常に良い生活習慣を維持することが何よりも大切といえる。

利便性の向上とその代償について

時代の変化とともに世の中がだんだん便利になってきている。

18世紀の産業革命を皮切りにして陸海空で今まで人類が経験したことのなかった夢のような交通手段が発明されたことで世界的に人の移動が飛躍的に高まった。さらに車社会とIT革命の普及により、かつて私たちの祖先たちが長い時間と手間を掛けて行ってきたことを、今では一瞬のうちに可能になっている。こうした利便性の向上は私たちの生活を豊かなものにしていることは言うまでもないが、この豊かな生活には高価な代償を支払っていることは意外に見落とされがちである。

高価な代償とは運動不足による生活習慣病患者の増大という代償である。2012年のランセットという世界的な医療雑誌に「運動不足はパンデミック状態(世界的流行病)」という大変衝撃的なタイトルの記事が掲載されて注目を集めた。それによると運動不足が原因での死亡率は脳疾患、心疾患、ガンに次いで第4位とのことである。こうしたこともあり、昨年の11月に『「運動」を錠剤にして販売すれば世界で最も売れる薬になるー運動はこんなに健康に良い!』という本を上梓した。

多くの読者の健康寿命延伸のための参考になればと願っている。

本を出版致しました。(運動はこんなに健康に良い)

最近は健康寿命という言葉がマスコミでも多く取り上げられるようになった。健康寿命とは文字通り健康で自分の事は自分でできる状態をいう。健康寿命が注目されるようになったのは平均寿命との間に大きな乖離があるという事実からの様だ。現在、男性で9年強、女性では12年強の乖離があるとのことである。この差とは自分のことを自分でできないため介護を必要としている期間を意味する。女性が男性に比べて長いのは転倒などで骨折をしてしまうケースが多いこと、そして女性の方が長寿であることからと思われる。

世の中にはいろいろな健康法がある。理にかなっているものもあればそうでないものもありどれを選んだらよういのか迷ってしまうかもしれない。しかし、運動(特に適度な有酸素運動)は万人に有効でやり過ぎない限り副作用は‟ゼロ″と言えるため、「運動を錠剤にして販売すれば世界で最も売れる薬になる」と言われる所以といえる。

著者はこの度、大学院での約10年間の研究をベースに「健康とはどうゆう状態の事なのか」、「運動がなぜ健康に良いのか」、そして著者自身が実行している太極拳の「健康効果」などをまとめた本(『「運動」を錠剤にして販売すれば世界で最も売れる薬ー 運動はこんなに健康に良い!』)を幻冬舎より出版した。

健康寿命の延伸のために少しでも参考になればと願っています。

 

気候の変わり目の体調管理

    最近はやっと気候の変化が落ち着いてきたが、今年は特に日々の変化が大きく体調を維持していくのに苦労した人も多かったのではないだろうか。

 こうした気候変動が私たちの体内にも影響を及ぼすことは避けられない。何となく気分がすぐれないとか、体がだるいとか、日中に眠くなるなど体調の不振を訴える人が増える。私たちの体には交感神経と副交感神経からなる自律神経というものがある。体調の良い時には交感神経と副交感神経のバランスが均衡した状態にあるが、気候の悪い時や寒暖の差が大きい時には自律神経のバランスが崩れてしまい体調にも影響を与えてしまうようだ。

 こうした体調不振の時には15分程度の昼寝が有効だ。昼寝は長く取り過ぎると夜の睡眠に悪影響を与えてしまうため15分以上は禁物だ。私は通常昼寝をしないが、疲れた時には5分間椅子に座って目を閉じることにしている。5分間のためにタイマーをセットするのは面倒なので秒速ぐらいの早さで目を閉じながら300数えることにしている。5分間目を閉じるだけで頭が冴えて体が軽くなるので自分でも驚くほどの効果を実感している。

脳は人間の五感から受ける刺激の内、8割以上を視覚から受けていると言われている。従って、目を閉じて脳から入る刺激をカットするだけで脳のエネルギー消費量を大幅にカットできるため、例え眠らなくても目を閉じているだけで頭が再び冴えてくるという理屈だ。電車に乗って座っている時などぼんやりと外の景色を見ているぐらいなら、目を閉じて脳の省エネに努めることがお勧めだ。

国会議員には「スタンディング・オベーション」を大いに推奨する

先月30日の衆議院予算委員会で26日の所信表明演説の際に多くの自民党議員がスタンディングオベーション(立ち上がり拍手)をして演説が中断されたことを民進党が批判していたが、私は逆に健康維持の観点から大いにサタンディング・オベーションを推奨したいと思う。

TVで国会中継を見ていると、ほとんどの国会議員は椅子にじっと座ったままで長時間過ごしているが、「動かないことが万病の元」となっていることは数多くの研究結果から明らかになっている。座ったままでいることを「セデンタリー」というが、このセデンタリーについての研究では、「運動の有無に関係なく1日11時間以上座ったままの状態で生活している人は、4時間以下の人に比べて40パーセント以上死亡率が高まる」ことが判明したというオーストラリアの研究報告もある。そして1日どれぐらいの時間、私たちは座った状態で過ごしているかという研究では日本もイギリスも平均10時間から11時間と報告されている。これは仕事でのデスクワークの時間、移動での車や電車に座っている時間、自宅でテレビなどを鑑賞している時間すべての合計である。

肥満や糖尿病などの生活習慣病の患者が年々増加して医療費負担増につながっている現状下、国会議員の人たちは率先してスタンディング・オベーションをやって自らの健康維持を国民に示してもらいたい。

日米の社会的マナーの違いについて

私は2006年までの約11年間をアメリカで生活をしていた。社会的マナーという観点では日本は約束をきちんと守り、時間にも正確であり信号などもきちんと守る国民性であるというのが一般的であると思う。私もそうした自負を持って海外でも生活していたが、これはアメリカ人の社会的マナーの方が日本人よりも優れているという気づいた点が幾つかある。

  • 二人で入ったレストランでの料理の出し方

日本では二人でレストランに入って二人別々の料理を注文したら、別々に運ばれてくるのがふつうである。時にはもう一方の料理はかなり遅れて運ばれて来るときもあり、ただひたすら待つか先に一方だけが食べてもう一人は今か今かとばかり指をくわえて待つという事が頻繁に起こる。

しかし、アメリカでは料理は必ず二人分同時に運ばれてくる。別々に運ばれてきたことは10年間生活して一度も経験したことがない。つまり、彼らの考えはこうだ。レストランで食事をするというのは食べることだけが目的でなく、食事をしながら会話を楽しみ生活をエンジョイするために来るのであるという事だ。従って、一人分だけ料理が運ばれて、もう一人分は後からくるなどは受け入れられないという事だろう。

  • 建物のドアの開閉時には必ず後続者に配慮する。

アメリカでは建物の出入りの時のドアの開閉は必ず後続者の有無を確かめ、後続者がいる時はドアを開けたまま支えて次の人にバトンタッチするのが常識となっている。一方日本ではどうだろう。先の人がドアを開けて入っても、後ろを振り返って後続者の確認などは全く行わない。私は日本に戻って来たばかりの頃に、後続の人にドアを開けて支えていたら、後ろから来た人はそのまま私の事を気にもかけずに行ってしまったという経験がある。つまり、私は単なるドアマン役をさせられてしまったのだ。

 

  • 救急車が後ろから来たら直ちにスピードを落として、道路わきに車を停車する。

救急車がサイレンを鳴らして後ろから近付いて来たら、例外なく道路わきに車を止めて救急車に道を譲り、救急車が通り過ぎたら再び通常通り車を走らせるというのがアメリカでは常識だ。人命にも関わる可能性がある救急車を一刻も早く通そうと考えるのが一般的だ。

一方、日本では全く無頓着なケースが多くみられる。従って、サイレンだけでなくマイクで大声を出して注意を喚起しながら走っていることが多い。

私は以上のことで日本のマナーがアメリカと比較して悪いことを強調しているのではない。否、日本の方がいろいろな面で優れていることが多い。しかし、上述の3点についてはもう少しどうにか出来ないものかと日頃から思っている。