常楽さんの健康ブログ

健康について考えるブログです。

山のあなたの空遠く、幸い住むとひとのいふ

山のあなたの空遠く、幸い住むとひとのいふ。。。」とは、有名な上田敏訳によるカール・ブッセの詩の冒頭部分である。この詩では、作者は幸せを求め続けたが、結局見つけることが出来なかった、という悲しい詩である。

「幸福とは何か」という課題は、古くはギリシャの哲学者アリストテレスから現代に至るまで多くの人々によって語られている。アメリカの心理学者フリードマンは「あなたが幸福であると感じれば、あなたは幸福なのです。幸福という言葉の意味はそれがすべてである。」と、述べている。しかし、問題はどの時点で「幸福である」と感じるかである。残念ながら、人間はある時点で「幸福である」と感じても直ぐにその環境に順応してしまい、それが当たり前だと感じる性向を持っている。そのため、さらに上のレベルでなければもはや「幸福である」とは感じなくなってしまう。こうして人は、「山のあなたになお遠く、幸い住むとひとのいふ」というように、何時までも幸福を追い求め続けることになる。アメリカの心理学者カンペルはこうした状態を「すべての人は“快楽の回転踏み台”のために働いている」と表現している。

延暦寺のある老師は「今幸福であると感じることが大切だ」と述べておられるが、この“快楽の回転踏み台”から逃れる為には「今この瞬間が幸福なのだ」と感じることが必要なのだろう。そのためには「求めすぎない」ことが重要になってくる。