常楽さんの健康ブログ

健康について考えるブログです。

動かないことが万病のもと

運動が健康に良いことは昔から伝えられてきたが、科学的に運動と健康の因果関係が明らかになったのは1950年代になってからである。ロンドン大学のモリス教授はロンドン市内を走る2階建てバスの運転手が心疾患による死亡率が高いことに注目して調査したところ、バスの運転手は車掌に比べて冠動脈性心疾患による死亡率が3倍高かったことを発表して注目を集めた。バスの運転手は仕事している間座ったままであるのに対して、車掌は2階建てのバスの中を立ったまま2階に上がったり降りたりと体を動かしている。こうした運動量の差が3倍と云う死亡率の差に出たといえる。その後、1960年代にはハーバード大学のパッフェンバーガー教授らよる運動と健康に関する研究があり、現在では運動と健康の因果関係は強いエビデンスがある。

それでは、なぜ運動が健康に良いのだろうか。

ヒトが2足歩行をするようになったのは今からおよそ600万年前にさかのぼると言われている。人類はアフリカ大陸で生まれたとされているが、2足歩行に進化した理由のひとつに熱帯の暑い太陽のもとで体温調整の必要性があったようだ。4足歩行に比べて2足歩行で受ける日射量は半分以下であるとのことである。さらに我々の祖先は体毛を捨てて汗腺を得た。ヒトの体には300万ほどの汗腺がある。これにより持久力が格段に高まり、長く走り続けることが可能になった。アフリカの平原で灼熱の太陽のもと獲物を追い続けてもオーバーヒートしないように進化してきたのだ。4足動物は俊足で走る事ができる半面、長時間走り続けることが出来ない。人間のような機能を備えていないから直ぐにオーバーヒートしてしまうからだ。我々の祖先はこうして鹿のように俊足の動物でも長時間あるいは数日に亘って追い続けることで、最終的に動けなくなった獲物を取り押さえることが出来たようだ。

我々は数百万年に亘るこうした厳しい生活環境を生き延びてきた祖先の遺伝子を受け継いでいる。つまり、飢餓状態と長時間の運動のもとで体の生理機能が最大限機能するというものであるが、現代人のライフスタイル(高カロリー食と長時間の座位生活)は祖先から受け継いだこうした遺伝子とは全く適合していないといえる。 従ってこうしたライフスタイルが生活習慣病を生じているといえる。

正に、動かないことが万病のもとなのである。日常の生活の中で少しでも体を動かすことを習慣にすることは祖先から受け継いだ遺伝子をオンさせて生命力を高めることに繋がることを銘記すべきだろう。