常楽さんの健康ブログ

健康について考えるブログです。

認知症予防に太極拳が良い?

最近はいろいろなメディアを通じて太極拳の健康効果が伝えられるようになってきた。太極拳の健康効果についての研究を行っている者としては喜ばしい限りである。そこで、今回は太極拳の健康効果について簡単に述べてみたいと思います。

武術として中国で始まった太極拳は深い呼吸を伴った独特のゆっくりとした動きが特徴です。太極拳はこの独特のゆっくりとした動きにより、精神的効果と身体的効果が同時に期待できるとされております。代表的な身体的効果としては転倒予防効果があります。それでは、なぜ太極拳を継続的に行うことで転倒予防に繋がるのでしょうか。その理由は、あの独特のゆっくりとした動きにあります。ゆっくりした動きのため、片足で立つ時間が長くなります。片足立ちは当然ながら不安定な姿勢です。私たちの体には視覚、体性感覚、前庭という3つの器官があり体のバランス調整を行っています。したがって、不安定な姿勢になった場合には不安定な姿勢を修正しようとして足の裏からの刺激を脳へ伝え、視覚からの情報とともに脳から神経・筋肉・関節等を通じて指令を出して転倒しないように一斉にバランス修正行っています。太極拳を長期間継続的に行うことにより、こうしたバランス修正を繰り返し行うことで、バランス能力が高まると言われております。

女性は高齢になるに従い、女性ホルモンの分泌が低下するため骨が弱くなってしまいます。従って、高齢の女性が転倒すると骨折をする確率が非常に高まり、特に大腿骨近位部を骨折してしまうと寝たきりになってしまったり、介護が必要になってしまったりして生活の質(QOL)落ちてしまうため、転倒予防は大変大切です。太極拳は高齢になっても無理なく継続することが可能であり、転倒予防に最も効果的な運動であることから、高齢者にやさしい運動と言えます。

さらに、最近の論文では太極拳による認知症予防効果複数報告されるようになり、注目を集めています。世界的な高齢社会を迎えつつある中で、さらに多くの太極拳認知症予防効果に関する論文が発表されるであろうと思われるので見逃せません。