常楽さんの健康ブログ

健康について考えるブログです。

人間の「脳力」の凄さ

 先日、新宿末廣亭で寄席を楽しんできた。沢山の芸人さんが多彩な演芸やお笑いを披露してくれたのであっという間に時間が過ぎたが、私が今回の演芸の中で特に驚いたのは紙切り芸人の技であった。舞台で体を揺らしながら手さばき鮮やかに紙を切っていくのだが、出来上がったものは信じられないほどの細やかさで見事なものであった。

 事前に何回も練習していたとしてもそんなに容易ではない芸と思われるが、今回はお題を会場から頂いたものを即興でやったことが先ず驚きである。さらに紙を切っている間、無言で紙切りに集中しているのではないのだ。紙切りとは関係のない話をして観客を笑わしているのである。さらに、紙を切っている間は体を前後に揺らしながらリズムをとっているのである。

 この技のすごさは3つの全く関係のないことを同時進行で行っているのである。私たちは頻繁に日常生活の中で無意識に2つのことは同時に行っている。例えば、車を運転しながら同席の人と会話をしている。あまりにも当たり前に行っているので意識しないのが普通だが、考えてみれば脳は運転するという行為と同席の人との運転作業とは全く関係のない会話を楽しむという行為を同時に行っているのだ。これだけでも、すごいことを脳は行っていることに驚いてしまうが、紙切り芸人は3つの別々な高度の作業を同時進行で行っていることに舌を巻かざるを得ない。こんなことはどんなに科学技術が発達してもロボットには不可能だろう。

 確信出来ることは、このような芸人の方たちは決して認知症などにはならないだろうと言うことだ。認知症予防には2つのことを同時にやる(ダブルタスク)ことが良いとされている。だからウォーキングしながら計算(例えば100から7の引き算を続ける)することは良く知られているが、今回の紙切り芸人の技は超超高度な計算をやっているのと同じと言えるだろう。