常楽さんの健康ブログ

健康について考えるブログです。

認知症予防に太極拳が良い?②

太極拳では体の力を抜いてゆっくりと手足をバラバラに動かすことが求められます。こうした動きは一見さほど難しいようには見えませんが、いざ自分がやってみると簡単ではない事を実感します。私たちは初めて新しい動作に挑戦する時、「どうしたら上手く手足を動かせば良いのか」と、脳のあらゆる神経細胞を総動員して「その答え」を見出そうとします。しかしながら、太極拳の動きは複雑であり、ある程度の動きをマスターするためには少なくとも1年以上の継続的な練習が必至なのです。そのため初心者の方にとっては練習をしている間は脳をフル回転させなければならないので、練習終了後には大変な疲労感を感じるでしょう。

一般的に、認知症予防には「運動をしながら、同時に頭を使うという二つの課題(ダブルタスク)」をする事が有効的であると言われています。運動して血流が増えた状態で脳を使うことにより脳の神経細胞の活性化を促すものと考えられるからです。

太極拳はゆっくりとした深い呼吸を伴った有酸素運動です。酸素を十分取り入れた血流が脳内に増えた状態で「どうして上手く手足を動かせば良いのか」と脳神経細胞をフル回転させるため、まさに太極拳を行うことは「運動しながら、頭を使うというダブルタスク」をしていることになります。近年、太極拳認知症予防に関する論文が多く見られるようになったのは、その証しでしょう。

認知症予防に太極拳が良い?

最近はいろいろなメディアを通じて太極拳の健康効果が伝えられるようになってきた。太極拳の健康効果についての研究を行っている者としては喜ばしい限りである。そこで、今回は太極拳の健康効果について簡単に述べてみたいと思います。

武術として中国で始まった太極拳は深い呼吸を伴った独特のゆっくりとした動きが特徴です。太極拳はこの独特のゆっくりとした動きにより、精神的効果と身体的効果が同時に期待できるとされております。代表的な身体的効果としては転倒予防効果があります。それでは、なぜ太極拳を継続的に行うことで転倒予防に繋がるのでしょうか。その理由は、あの独特のゆっくりとした動きにあります。ゆっくりした動きのため、片足で立つ時間が長くなります。片足立ちは当然ながら不安定な姿勢です。私たちの体には視覚、体性感覚、前庭という3つの器官があり体のバランス調整を行っています。したがって、不安定な姿勢になった場合には不安定な姿勢を修正しようとして足の裏からの刺激を脳へ伝え、視覚からの情報とともに脳から神経・筋肉・関節等を通じて指令を出して転倒しないように一斉にバランス修正行っています。太極拳を長期間継続的に行うことにより、こうしたバランス修正を繰り返し行うことで、バランス能力が高まると言われております。

女性は高齢になるに従い、女性ホルモンの分泌が低下するため骨が弱くなってしまいます。従って、高齢の女性が転倒すると骨折をする確率が非常に高まり、特に大腿骨近位部を骨折してしまうと寝たきりになってしまったり、介護が必要になってしまったりして生活の質(QOL)落ちてしまうため、転倒予防は大変大切です。太極拳は高齢になっても無理なく継続することが可能であり、転倒予防に最も効果的な運動であることから、高齢者にやさしい運動と言えます。

さらに、最近の論文では太極拳による認知症予防効果複数報告されるようになり、注目を集めています。世界的な高齢社会を迎えつつある中で、さらに多くの太極拳認知症予防効果に関する論文が発表されるであろうと思われるので見逃せません。

“こころ”が若い人は長寿?

ロンドン大学の研究グループによると、52歳以上の男女6,500人を対象に行った調査で、実年齢より3歳以上若いと感じている人は実年齢と同じ、あるいはそれ以上と感じている人と比べて死亡率が低い事が分かった報告している。自分が感じている年齢と癌との間に相関は見られないが、心臓病との間には強い相関関係があるという。ハーバード大学の心理学准教授であるシーゲル博士によると、実年齢より若く感じるか否かは、私たちの健康に強い影響を与えているという。

シーゲル博士は自分を若く感じる方法として推薦しているのが、先ず週150分間の中程度の運動である。精神的に若いと感じると、運動の継続にもつながり、それが健康維持に影響を与える様だ。次に大切なのが食事である。糖分やトランス脂肪酸飽和脂肪酸などを控えて、食物繊維不飽和脂肪酸、オメガ3脂肪酸などを多く摂取することが健康維持に大切という。その他、①新しいことへのチャレンジ、②「今、現在」へ意識を向ける、③趣味などの楽しみの中で社会との関わりを見出すことが重要としている。 

やはり、いつまでも元気で健康に過ごすためには、何時も前向きで明るく、ごきげんで活動的で、そして新しいことに興味を持って生きることかもしれない。

青春時代の思い出は年をどれだけ重ねても変わらず懐かしい

昨年は高校を卒業して50年目の年であった。このようなこともあり、“半世紀会”と称した高校の同窓会が名古屋で開催された。もともと男子校であった関係で女生徒は少なかったのだが、この“半世紀会”には2名の女性の参加があり大変盛り上がった。そして最後に舟木一夫の「高校三年生」を全員で肩を組みながら合唱したが、感激して胸が引き締まる思いがした。

そして、昨日は元の会社の同僚が高校の同級生と「ざ・サンクス」というフォーク・バンドを結成して関西を中心に活躍していたが、今回初の東京公演とのことで新橋のフォークのライブ・スタジオに出かけた。懐かしいフォークの数々と軽快な会話で2時間ほどのライブはあっという間に終わったが、アンコール曲として用意されたのは、やはり舟木一夫の「高校三年生」であった。生の伴奏に合わせて参加者全員で合唱して終了したが、誠に感激の時間であった。

高校三年生は満18歳であり、正に青春の真っただ中である。私たちの五感の中で過去を一番鮮明に思い起こしてくれるのは何と言っても聴覚だろう。当時の懐かしい音楽を聴くと鮮明にその音楽が流れていた時代を思い起こしてくれる。私たちの体は60兆の細胞からなっている。私はこの60兆の細胞たちが青春時代を鮮明に記憶しており、当時の音楽を聴くことで青春時代を呼び起こしてくれるのだろうと思っている。

年を取ってくると残念ながら、感動することが少なくなってしまう。それが老いなのかもしれない。だから、こうした青春時代を心から呼び起こしてくれるような機会があれば大変健康的であろうと思う。自分の青春時代を求めて昔のアイドル歌手の追っかけをしている中高年者も大いに結構といえる。

「運動不足」は「パンデミック」な状態(病気などの“大流行”)

世界の死亡原因の第4位に「運動不足」があるとする報告が近年のイギリスの医療雑誌『ランセット』に報告された。同誌ではパンデミック(病気などの“大流行”)という表現を用いてその深刻さを訴えている。そして2007年だけでも非伝染性の病気で死亡した人の内、運動などをして体を動かしていたら530万~570万人が死から救われただろうと指摘している。

同誌ではその要因の1つとして中国の急速な経済発展と都市化が身体活動の低下と関係している可能性を指摘しており、今後さらにアフリカなどでも地方から都市への急激な人口移動が中国と同じように身体活動の低下を招くことになるだろうとしている。

人類はおよそ1万年前に農業を始めたとされており、それ以前の数100万年間という気も遠くなるような長い期間は食物を求めて野山を歩き回っていたため、長時間の運動が常態であった。それが、現代のようなライフスタイルの‘きっかけ’なったのはおよそ200年前の産業革命といわれており、さらに拍車を駆けたのが車社会であり、IT革命といえるだろう。

便利な社会となり快適な社会となった半面、「運動不足」という私たちの遠い祖先が経験したこともない病の原因に私たち現代人は直面していることを深刻に受け止める必要がある。そして日常の生活の中で、出来るだけ先祖から受け継いできたこの私たちの便利な2本の足で歩き、早歩きをし、階段を上りそして体を鍛えることが大切だろう。

楽しいから笑うのか、笑うから楽しいのか

私が勤務した会社のOB会では幾つかの同好会があり旧交を温めあう良い機会となっているが、その一つに「寄席観賞巡り同好会」と云うのがある。年に2回都内の寄席演芸場で半日とっぷりと笑う同好会であるため、私も毎回楽しみに参加させて頂いている。昨日は国立演芸場でたっぷりと笑い、そして取りに登場した歌丸師匠の話に会場が静まりかえるほどの迫力に引き込まれ、終わると同時に大拍手となった。大いに笑い本当に楽しさを満喫した時間であった。

笑いの健康効果についてはストレス解消、高血圧予防、糖尿病予防、免疫力の強化、うつ予防、認知症予防など最近の研究から多くの健康効果が分かってきている。

「幸福だから笑うわけではない。笑うから幸福なのだ。」という幸福論で有名なアランの言葉ではないが、「楽しいから笑うのか(キャノン・バート説)、笑うから楽しいのか(ジェームズ・ランゲ説)」という命題は古くから生理学・心理学の分野で多くの議論となってきた。一見したところ「楽しいから笑う」の方が自然に受け入れられるようにも思えるが、よく考えて見るとアランの言うように「笑うから楽しい」も真理に思えてくる。それは自分で笑顔を作って見ると気持ちが和んでくるから、誰でも実感できるだろう。笑顔を作ると頬の筋肉(頬骨筋)が収縮するが、頬骨筋は脳に結びついている筋肉である為、その刺激が脳に伝達されてβエンドルフィンというホルモンが分泌されることから、楽しい気持ちになると言われている。

「ハッピー・ピープル・リブ・ロンガー」という論文が2-3年前にアメリカで発表されて話題となったが、正に、「笑う門には“福”来たる」であり、「笑う門には“健康”来たる」である。

笑うと気持ちが良くなり、ハッピーな気持ちになり、そして何よりも健康に良いのだから、大いに笑おう!!

疲れた時にはショート・ナップ(短い昼寝)が効果大

今日は4月1日。桜の花も満開となり、やっと本格的な春の到来だ。このような気候になると体の60兆ともいわれる細胞も安心するのか昼食後などには眠くなったりする。健康の3要素として一般的にバランスの摂れた食事・適度の運動・十分な休養と云われている。どのくらいの睡眠が健康に良いのかについては7-8時間が最も良いとの研究報告がなされており、これよりも少なくても長くても健康には害なようだ。また、単に睡眠時間だけでなく、睡眠の質も重要となっている。特に高齢者になると、なかなか朝まで“ぐっすり”とはならず、浅い眠りがどうしても続くようになってしまう。

こうした時、昼寝は大変有効だ。しかしながら、昼寝には気をつけなければならない点が一つある。それは決してベッドの上で寝ないことだ。ベッドの上で寝ると深い眠りとなってしまい、夜になると、また寝られなくなってしまう、と云う悪循環に陥ってしまうからだ。最適な昼寝は15分程度と云われている。 短すぎるように思われるかもしれないが、15分でも脳を休めるとその後の活動にはかなり効果的な影響を与えることが出来る。私は通常昼寝はしないが、疲れた時などには椅子に座ったままで5分間ほど目を閉じることにしている。不思議なことに5分未満では効果がない。私の脳は5分が最低必要時間のようだ。眠りに入らなくても5分間目を閉じていれば、脳の疲れが消え去ってしまうので私にとって効果は絶大だ。

脳が受ける刺激の8割以上が視覚からの刺激と言われており、次に多いのが聴覚からの刺激で1割程度であるとの事である。このことからも目を閉じて視覚からの刺激をカットするだけでも大いに脳を休めることに繋がる事が理解できる。電車などに坐っている時などに周りを見渡したり、外の景色をぼんやり眺めたりしている場合には、目を閉じて脳を少しでも休めてあげることも脳のエネルギーを有効に活用する方法かもしれない。