常楽さんの健康ブログ

健康について考えるブログです。

70歳のたしなみ

坂東真理子氏の表題の本を読んでいる。同じ年代の人間として大変心打たれる。そんな中で特に私の関心を引いたのが、68歳で大学院に入学した男性学生について書かれた章である。

私も定年退職を間近にしていた頃、定年後の人生をどう生きるか悩んだ末、2006年の春60歳で大学院への入学を決意した。入学してみると年齢は様々で社会人経験者も何人かいたが、やはり私が先生を含めて最年長者であった。 当初は学生たちとどのように接触したら良いのか戸惑ったが、だんだん話も出来るようになり、私も勉強の楽しみを覚えて夢中で学生生活を送った。そして62歳で修士課程を修了し、博士課程に進学した。上記の本の中にも出てくるが、博士論文は修士論文とは要求されるレベルが違うことを嫌というほど味あわされた。私は太極拳を長くやっていたので、研究テーマは「太極拳の健康効果」と決めていた。東京都と神奈川県下にある太極拳教室にお願いしてデータ取りをさせて頂き、600名以上の方の協力を得ることが出来、そのデータを統計解析した上で論文を作成してアメリカの医学雑誌に投稿するのであるが、これが至難の業であった。博士論文を書くためにはその前提として英語の論文が1本以上必要なのだ。アメリカの医学雑誌から何回もダメ押しされて、気持ちがへし折れそうになりながらも、何とか2本掲載されて2014年春博士号を取得することが出来た。大学院に入学して8年目、68歳の春の事である。今思えば、夢中で過ごした8年間であったが、自分の人生の中でこれほど充実した時はない。懇切丁寧に指導いただいた指導教員の先生をはじめ多くの方々に感謝の思いで一杯である。

現在は太極拳教室を2か所で指導しながら、年に数回太極拳の健康効果について講演をしている。